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1st LIVE 2023 “from here” ライブレポート公開!

06.21

梅雨シーズンの中、まるでこの日を祝うかのように快晴となった6月17日(土)。東京・LINE CUBE SHIBUYAで、声優・アーティスト山下大輝の初ワンマン・ライヴ「1st LIVE 2023“from here”」が開催された。

本公演は3月に発表した1st Album『from here』のリリースを記念して行われたもの。ワンマンライブ直前である6月14日(水)には、これまでとは一味違った趣の新曲「ヒトコキュウノ」を突如配信リリースと、音楽活動に意欲的に取り組んでいる。

TVアニメ『弱虫ペダル』小野田坂道役、『僕のヒーローアカデミア』緑谷出久役、など声優として飛躍してきた彼が、アーティストデビューを果たしたのは2021年4月。当初はコロナ禍真っ只中である。この2年間の軌跡と“これから”を指し示したライブの中で響き渡る観客の大きな声援に、山下は終始太陽のような笑顔を咲かせ、同時にしみじみ感慨深い表情も見せた。当たり前の日常がいかに特別で輝かしいものかを噛みしめるかのように。

開演時刻を迎えると、満員の渋谷公会堂に爽やかな風が吹く。バンマス・ギター・高慶“CO-K”卓史 、ドラム・加藤 聡、ベース・櫻井陸来、キーボード・白井アキト、マニュピレーター・石田裕也が紡いだのは、1stアルバム『from here』のオープニングを飾ったインストナンバー「from here」だ。そのサウンドスケープと共に、スポットライトを浴びた山下がステージ上段に登壇。「from here」と開幕の合図を送り、大きな拍手と歓声、カラフルなペンライトに包まれる中で1st EP『hear me?』の「列偶像」で疾走していく。曲の途中、ステージ前方へと足を進めリズムと戯れるかのように歌うと、「みんなようこそ!」と大きく手を広げ、観客を迎え入れた。

「大変な時期を乗り越えて、乗り越えて、やっと1stライブにこぎつけることができました。皆さんがこの2年間応援してくれたおかげです。こんな景色が見られるなんて思っても見なかった。すっごく綺麗」

そう目を輝かせる山下が、ライブ開幕直前までどこか夢見心地であったことを明かす。「ただやっぱり、歌いはじめて、生の楽器隊の音が聴こえて、みんなの目線を感じて」ワンマンライブを実感したという。「なによりうれしかったのが、みんなの声が聴こえたこと。これが本当にうれしかった、すっごく感動する。声が聴こえるってすっごくうれしいことなんだなって、思い出させてくれた」と、今ここに立てる喜びを肌で感じながら「ありがとう」と感謝を伝えた。

また、“コールアンドレスポンスの練習”としてファンとのコミュニケーションを楽しむ一幕も。「みんなハンバーグは好きですか!」「今日の晩ごはんはなんですか!」(「ハンバーグ!」)と、山下の大好物ネタにもすぐさま反応があり「瞬発力良っ!みんな優秀だわ」と褒め称えた。「こんな感じで、好きな言葉を投げかけてくれたらうれしいです。みんなが全力でできるように、僕も全身全霊、いまできる限りのことを全部ぶつけていきますので、今日のライブ、最後まで盛り上がっていってください!」と語気を強めていく。

そして「僕らは挑戦しつづける」と、エモーショナルに疾走する「continue」で声が重なり<どんなに怖くなっても止まらず居られた 君がいたから>と思いを交わす。続いてシティ・ポップサウンドの「キャンドル」を灯せば、ファンの手元のペンライトが黄色に。yama”春を告げる”のサウンドプロデューサーとしても知られるくじら書き下ろしのこの楽曲は、本作のジャケットイラストも手掛けた“大鳥”が描いたアニメーションMusic Videoと共に届けられた。

山下の表現力の幅広さを特に感じさせたのが次のブロックである。「雰囲気を変えて、甘酸っぱかったり、しょっぱかったり、苦かったり……といういろいろなフレーバーが入っている曲たちをお届けしようと思います」という言葉通り「 Iʼm in love」、「サカサマ」、「誰かを」と三者三様のバラードの繊細な心の機微を、豊かな表現で描き出してみせる。
そこから一転、全員着席のリラックスしたムードの中で愛猫・おこめくんとの生活を描いた「ごはん」タイムに。ステージ全体を走り回ったり、階段で座ったりする“気まぐれ”感のある動きもなんだか猫らしくチャーミングだ。直前に練習した“ちゅっちゅる~ちゅる~るる~る~”のレスポンスもバッチリ。演奏後「にゃ〜ん」と鳴き声がどこからともなく響き「おこめ〜!おやつの時間だった!」とステージを足早去っていくという演出を含めて、たまらなく楽しく愛おしい時間となった。

ここで場面転換。バンドのインタールードを挟み、マルチカラーのパーカー衣装で山下がオンステージすると……ステージの上段の上手側に、自転車のハンドルを持った、シンガーソングライター・佐伯ユウスケの姿が。突然のサプライズに観客から驚きの声が上がる中、ステージ上段下手側に立った山下と向かい合いながら、『弱虫ペダル』の佐伯によるオープニングナンバー「ダンシング」(『弱虫ペダル GLORY LINE』OPテーマ)を共に歌唱し、容赦なく高揚感を煽っていく。

「みんなびっくりした〜!? めちゃくちゃうれしい!」と興奮気味に山下。ふたりは『弱虫ペダル』で出会い、普段は“大ちゃん”“ユウス”と呼ぶ仲で、音楽活動においても親交も深い。佐伯が「記念すべきステージに呼んでいただきうれしいです。(「ダンシング」は)大ちゃんに歌ってほしかったんですよ」と話すと、山下は「うれしぎる!」と喜びをあらわに。ふたりの仲の良さや信頼関係が伝わってくるやりとりに、客席からは歓喜の声が上がった。

さらに「これだけでは帰れない」と、TVアニメ『弱虫ペダル LIMIT BREAK』第2クールエンディングテーマを飾った佐伯とのデュエット曲「アクション」(山下大輝 with 佐伯ユウスケ名義)をプレゼント。高速ナンバーの「ダンシング」とは相反する、ホーンアレンジが冴えたミディアムナンバーの「アクション」。Music Videoをバックに背を向けて歩いたり、振り返って向かい合ったりしながら、“信じて託す者”“託された者”の思いを息のあったボーカルワークで表現し、熱く拳を重ねた。そしてもう1曲、佐伯youthKとして山下に提供したナンバー「Hello」を。ハンズアップしながら観客のシンガロングを全身で受け止め「サイコーだったーー!」と、とびきりの笑顔を見せる。「3曲連続でこのステージを熱くしてくれた佐伯ユウスケさんに盛大な拍手を!」と伝え、大きな拍手が沸き起こった。

「ユウスがつないでくれた熱いバトンを受け取って、ここからさらに盛り上がっていければいいなと思ってます。皆さんついてくる覚悟はできてますか!」とその勢いのまま、BLUE ENCOUNTの田邊駿一が手掛けた「暁」 を熱唱。<まだ見たい未来(けしき)があるよ>と情感たっぷりに歌い、<はじまりの道を>まっすぐに指を指し、その手を強く握って胸元に置いた。

その直後、燃えるような赤のライティングが、青い炎を彷彿させるかのようなブルーに変わる。ステージ上段に突き進んで歌ったのは「Standing Strong」。洋楽ライクなロックナンバーは渋谷公会堂のステージによく似合う。<自分を超えろ>と自身を鼓舞するようにしながら、『from here』のコンセプトでもある“エール”を力強く届けた。

いよいよ本編ラストナンバー。アーティストデビューソング「Tail」(TVアニメ『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』エンディング主題歌)のサウンドを浴びながら短くMC。

「ここでいま一度、みんなと心をひとつにしたい。2年の時を経て、ファーストライブにこぎつけました。改めてこの曲で、from here──ここからスタートしたいなと。拳を上げて、みんなの声を聴かせてください」

シンガロングパートから幕を開ける「Tail」には、“いつか”という願いが込められていたに違いない。その願いを叶え、シンガロングで一体感を生み出しながら心を込めて歌唱する。そして<この想い 会いたい人に>の最後の言葉を「みんなに!」に変えて叫ぶと、客席にテープが降り注いだ。

アンコールの声に応えて、バンドメンバーとおそろいのライブTシャツ姿で再びステージに。改めてバンドメンバーを紹介し「本当に素敵なバンドで、めちゃくちゃ恵まれているなと。温かいメンバーのおかげで自由に歌うことができました」とメンバーへのリスペクトを語った。

「本当に最後の曲です。3日前に突然届けた、この曲で未来につなげられたらと」と「ヒトコキュウノ」 を披露。山下のハイトーンボイスが光る。シンガー・ソングライターとして活動するeddaが手掛けた、ファンタジー小説のようなコンセプチュアルなナンバーだが、<「やあ、素晴らしい世界だよ 声を届けに行くんだ 果てまで」>という言葉は、山下の“今ここから”はじまる旅への決意と重なる。「1st LIVE 2023 “from here”」のロゴに飛び交った矢印が示す、その先の未来に大きな期待を抱かせた。

アーティスト・山下大輝の第二章のはじまりを告げ、約1時間半に渡ったライブを終えると「好きってパワーは無限大だと思いました。一生の思い出になりました」と素直な気持ちを述べる。佐伯をステージに呼び込み、記念写真を撮ったあとに佐伯とハグ。そして、改めて観客に感謝を表す。

「今日は本当にありがとうございました。これからも進化していく山下大輝をどうぞ見守っていてください。皆さんをいろいろなところに連れていけるように、強くたくましく成長していけたらいいなと思っています。これからもついてきてください」

真剣な表情でそう伝えた後は「今日の晩ごはんは!」と投げかけ「ハンバーグ!」という返事にニッコリ。「ナイスハンバーグ! じゃあね!」とステージを去った。……すると一呼吸置いて、突如モニターに「Info」の文字が。客席がざわつく中、9月にバースデーイベントが開催することを発表し、次の約束に歓声が湧いた。

バースデーイベント「Daiki Yamashita Birthday Event 2023 DAIKING Festa Vol.2」は、9月9日(土)豊洲PITで開催予定。

Text by 逆井マリ
Photo by 江藤はんな

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